GrWin Ver.1.1.3 のインストール
(このページは更新中です。書かれている内容は今後変更されますのでご注意ください。)
インストールに必要なもの
がそろえば GrWin のインストールが可能です。
なお、旧版のインストールに使ったインストールキーが有効期限内なら
旧版の GrWin サーバー(のみ)をアンインストールしてから Ver.1.1.3 の GrWin サーバーをインストールすることでそのまま使えます。
ただし、サーバー側とクライアント(アプリケーション)側のバージョンの不一致を原因とするとする細かな不具合があるかもしれません。
ソース・レベルでの互換性は完全に保たれていますので、GrWin ライブラリも以下の説明に従って Ver1.1.3 に更新して、
新しい GrWin ライブラリをリンク(ライブラリの更新)することでアプリケーションを更新してバージョンの統一を行うことをお勧めします。
ただし、ライブラリの更新にはある程度の専門知識を必要としますので
アプリケーションを、新環境下で同じソースから再コンパイル/リンクして再構築した方が簡単でしょう。
トラブルなくインストールするには次のの1⇒2の順番を守ることが大切です:
GrWin サーバー のインストール(必須)
ダウンロードした GrWin-xxxxxx_Server[Static].msi をダブルクリックして指示に従います( 'Static' はスタティック版 )。
サーバーのインストールの際には インストールキーの入力を求められますので、
取得済のインストールキー を入力します。
インストールキーを入力しなければ1日有効の試用ライセンスが適用 されます。
なお、非スタティック版は軽量ですがシステムに関連ファイルがインストールされていない場合には実行しようとするとエラーで停止します。
よくわからない場合はスタティック版をインストールしてください。
GrWin ツールキットによるライブラリ・ファイルの生成(必須)
GrWin ライブラリは、「GrWin ツールキット」により使用しているコンパイラ等に適合したものを作成し使用します。
「GrWin ツールキット」には、旧版で配布していたビルド済バイナリの生成の際に使用したすべてのソースコードと、
Ver.1.1.3 の動作確認用に作成したプロジェクト・ファイル等が含まれています。
Ver.1.1.3 の動作確認用に使用した環境は 1) MSYS2-64bit のコンソール及び、2) Visual Studio Community 2019 とインテルの
Fortran Classic を組み合わせた IDE (統合開発環境)です。
以下、前提となる MSYS2-64bit のインストールについても含めて説明します。
- ビルド環境の構築
- MSYS2-64bit のインストール:
- MSYS2-64bit から実行形式インストーラの最新版
(現時点では、msys2-x86_64-20220603.exe)をダウンロードして実行します。
設定ウィザードが開きますので自分の環境に合わせた設定を行います。
よくわからないときには[次へ]ボタンを押します。
- 完了画面で、「今すぐMSYS2 64bit を実行します」にチェックが入っていることを確認して「完了」ボタンを押します。
- 設定用のコンソールが開きますので設定を開始します。
文字が小さすぎてよく見えない場合には、左上隅の [M] のアイコンを右クリックするとメニューが現れますので、
「Options...」=>「Text」->「Font」=>[Select]から好みに合ったフォントとサイズを選択することができます。
- ホームペ―ジの記述に従って初期設定のコマンドを入力します。
$ pacman -Syu
...
...
:: Proceed with installation? [Y/n] Y
...
...
:: To complete this update .... Confirm to proceed [Y/n] Y
最後のメッセージは「現在のウィンドウ(他)が閉じるがよろしいか?」という確認なので 'Y' を入力します。
- [スタート]から「MSYS2 64bit」を選択すると複数の「MSYS2 ...」の項目が表示されます。
今行おうとしている追加インストール等の設定は「MSYS2 MSYS」のウィンドウで行います。
バイナリの構築等の実際の作業は「MSYS2 MinGW x64」から行いますので注意してください。
- 残りの基本パッケージをアップデートするために以下のコマンドを入力します。
$ pacman -Syu
入力要求でストップしたら確認の上 'Y' を入力します。行頭に '$' のプロンプトが表示されれば
MSYS2 64bit の基本部分のインストールは終了です。
- 引き続き、GrWin ライブラリの構築に必要なコンパイラ等のオプションをインストールします。
$ pacman -S unzip
$ pacman -S --needed base-devel mingw-w64-x86_64-toolchain
「Enter a selection (default=all):」には 'Enter' キー を押します。
「MSYS2 MSYS」のウィンドウを閉じます。
以上で MSYS2 64bit のインストールは終了です。
- GrWin ツールキットの準備
まず、[スタート]=>「MSYS2 64bit」=>「MSYS2 MinGW x64」を選択して新しいコンソール・ウィンドウを開きます。
以降、この「MSYS2 MinGW x64」ウィンドウで作業を行います。
- GrWin サーバー がインストールされているかの確認
ここから先に進むには GrWin サーバー がインストールされている必要があります。
まだの方は上の「1.GrWin サーバー のインストール(必須)」を参照してください。
インストールされているかよくわからない場合は
[スタート]=>「GrWin 1.1」に「GrWin サーバー (x64)」の項目があるか確認してください。
ない場合、あるいは 32bit 版「GrWin サーバー (x86)」がインストールされている場合は 64bit 版を
インストールする必要があります。
インストールが確認できれば準備は完了です。
- 圧縮形式「GrWin ツールキット」のダウンロードと展開。
ここから
GrWinTk-113.tgzをダウンロードします。
tar+gzip で圧縮されていますので。適当なフォルダーにコピーして、以下のコマンドで展開します。
$ tar xvfz GrWinTk-113.tgz
...
...
- 本リリースから、ビルド環境をコマンド一つで整備する 'Makefile' が 'GrWinTk' フォルダ直下に含まれています。
全て自動で完了するためには、システムドライブの 'Program Files\\GrWin' にGrWin サーバー (x64) の
本体がインストールされている必要があります。条件を満たさない場合は 'Makefile' を編集してください。
- ライセンス情報の登録:
上の作業でフォルダー 'GrWinTk' に GrWin ツールキットのファイル一式が展開されていますのでそこに 'cd' し、
'make' コマンドを投入します。
$ cd GrWinTk
$ make
...
...
エラーが出なければこれで GrWinTk の開発環境の構築は完了です。
この環境はすべてのプラットフォーム( GrWinTk/build/* )で共通に使うことができます。
下に、 MSYS2 64bit のコンソール・ウィンドウと
Microsoft VisualStudio Community 2019 + Intel Fortnan の IDE(統合開発環境)で
全てのデモ・プログラムの実行ファイルを作成する手順を説明します。
アプリケーション作成の際の参考にしてください。
注意: [現在、Microsoft VisualStudio Community 2022 の Ver.17.2 以降のリリースは
Intel Fortnan と共存できないことが知られています。 VisualStudio をアップデートする際は
お気をつけください]
デモの実行ファイル生成と実行(オプション)
GrWinTk のデモ・プログラムのソースは従来の Shift-JIS と、新たにサポートした UTF-8 で
エンコードされた二種が含まれています。エンコードの違いだけで内容は全く同一です。
下の2つの例では、完全な設定がビルド・ツリーに含まれていますので「コマンド一つ」で
全デモの実行ファイルを生成することができます。GrWinTk のインストール先フォルダーは
上の例の 'GrWinTk' とします。また、PGPLOT のデモを動かす場合には grfont.dat と rgb.txt
があるフォルダーを環境変数 PGPLOT_DIR で指定する必要があります。
- MSYS2 64bit のコンソール・ウィンドウ(UTF-8)の場合
$ cd build/msys64
$ make
...
...
$ ./gwdemo17 --- 回転する多面体のデモを実行する例
$ ./pgdemo1 --- PGPLOT のデモ pgdemo1 を実行する例
これで終わりです。
- Microsoft VisualStudio Community 2019 + Intel Fortnan の IDE (Shift-JIS) の場合
"build\VS16_IVF_x64\all.sln" をダブルクリックして IDE を立ち上げてから
[ビルド] => [バッチビルド] => [すべて選択] => [ビルド]
以上
以下は旧バージョン(1.1.3 より前)に関するドキュメントですが共通部分も多いので参考として残しておきます。
(参考1) GrWin の構成について
GrWin ライブラリ が組み込まれた(リンクされた)ユーザーのアプリケーションは、
GrWin サーバー にデータを送信して動作します。
GrWin ライブラリ は使用する環境(コンパイラ等)を使って GrWin ツールキット から生成されますが、
その際に GrWin サーバー と正しく通信を行うために正しい「ライセンスキー」を必要とします。
ライセンスキーとインストールキーは違いますのでこれらの用語には注意が必要です。
ライセンスキーは、GrWin サーバー のインストール時に自動生成される「キー・ファイル」に書き込まれます。
したがって、
「GrWin ライブラリ」 や 「GrWin ツールキット」を利用するためには予め
「GrWin サーバー(商用利用)」 または
「GrWin サーバー(非商用利用)」 がインストールされている必要があります。
(参考2)インストールの不具合について
表示されたメッセージに応じて以下の作業を行ってください:
Wrong module version 'X' (expected 'Y') for file 'grwin.mod' opened at (Z)
Fortran90/95 でモジュール文を使用したときにこのエラーメッセージが出て失敗することがあります。
ここで X, Y, Z には数字が入ります。X は配布ファイルに含まれるビルド済の 'grwin.mod' のバージョンを、
また Y は現在の実行環境で必要とされる 'grwin.mod' のバージョンを表していて、それらの不一致がエラーの原因です。
なお Z はソースファイル内の位置を表しています。
この現象が出た場合には grwin.f90 をコンパイルして、
インストールされている 'grwin.mod' を自分の環境に合わせて作り直す必要があります。
どのようなコマンドを入力するかは使っている開発環境に依存しますが、
要は、'grwin.f90' から 'grwin.mod' を生成するだけですので基本は同じです。
ここでは MinGW で g95 を使っている場合についての例を示します:
- まずはコンパイラのルートディレクトリ(例えば C:\MinGW)に移動(cd C:\MinGW)してから、
以下のコマンドを入力して 'grwin.mod' がインストールされてるディレクトリを探します:
> dir grwin.mod/s
- 見つかったディレクトリに移動し、同じディレクトリにソースファイル 'grwin.f90' があることを確認します。
この際、/s オプションはつけません:
> dir grwin.f90
同じディレクトリに 'grwin.f90' が見つからない場合はインストール自体に問題があると思われますので、
再インストールをお勧めします。
- 同じディレクトリで以下のコマンドを入力し、'grwin.mod' を作り直します:
> g95 -c grwin.f90
ここで g95 は Fortran90/95 コンパイラの起動コマンド。 -c は、コンパイルのみを行うオプションですので、
他の環境で同様の現象に遭遇した場合にはこれに準じてください。
「ライブラリファイルのインストールが完了していません」 または
「グラフィクス・サーバーの初期化に失敗しました」
(参考1)に説明されていることはすべてインストーラが自動で行うので通常意識する必要はありませんが、
場合によって、アプリケーションの実行時、例えばデモの実行時
にこのようなメッセージが出てうまくいかない場合があります。これはイン
スートーラの不備が原因で、ライブラリにキー情報が登録されてい
ないときに起こります。
この現象が出た場合には次の操作を行ってください:
- 開発環境の lib ディレクトリ(MinGW_gfortran なら通常は C:\MinGW\lib)から,
関係するライブラリファイル libGrWin.a と libGrWin0.a (または,GrWin.lib と GrWin0.lib)をどこか任意の作業ディレクトリ
(例えば C:\temp)にコピーします。
- grwin.exe がインストールされているディレクトリ(通常は
C:\Program Files\GrWin)中の gwkey.c を、a. と同じ作業
ディレクトリにコピーします。
- gwkey.c をコンパイルして得たオブジェクトモジュール gwkey.o (または,gwkey.obj)を
ライブラリファイル( libGrWin.a と libGrWin0.a,あるいは,GrWin.lib と GrWin0.lib)に組み込みます。
(参考)MinGW や Cygwin などの場合なら,作業ディレクトリに g77 と ar が動く環境を設定して、
以下のコマンドを発行することで,作業ディレクトリにあるライブラリファイルを更新することができます:
> gcc -c gwkey.c
> ar -ru libGrWin.a gwkey.o
> ar -ru libGrWin0.a gwkey.o
- キー情報を登録したライブラリファイル( libGrWin.a と libGrWin0.a,あるいは,GrWin.lib と GrWin0.lib)を元の
lib ディレクトリに、上書きでコピーすれば終了です。